学術研究の読書には、重なり合った3つの仕事があります。分野の最新文献のフォロー、講義のための教材収集、そしてグラント申請が要求する背景調査。それぞれが独自の開いたタブの山を生み、どの山も彼此と連携しません。3月に斜め読みした論文が9月に急に必要になり、「再現率について印象的な図があった」という記憶以外は手元に何もない——そんな状況は珍しくありません。
Marqlyは、まさにその「再発見」の問題のために作られたAIブックマークマネージャーです。読んだものはワンクリックで保存でき、読みながらマーキングし、後からは「覚えている内容」を言葉で説明するだけで取り出せます。セマンティック検索はキーワード一致ではなく意味で検索し、タイトルだけでなく本文、ハイライト、動画の文字起こしまで横断します。
紙の論文にするのと同じようにハイライトする
Web上での精読は、たいてい引用を別のドキュメントにコピーする作業になり、文脈が失われます。Marqlyのハイライトはペンのように動きます。任意のWebサイトでテキストを選択し、6色のいずれかでマーキングしてメモを添える。方法論にはこの色、知見にはこの色、疑わしい主張にはこの色——色の分け方のルールも自由に決められます。
学術用途に効くのは、次の2つの性質です。
- ハイライトはページに残る。 翌学期に記事を開き直しても、マーキングは消えません——仕組みはここで詳しく解説しています。
- ハイライトはライブラリに同期する。 すべてのマーキングが中央に集約され、検索対象になります。「測定不変性について印を付けた箇所を全部見たい」は、午後のタブ開き直し作業ではなく、検索クエリ1つで済みます。
操作の全体像はあらゆるWebサイトで文字にハイライトを引く方法のガイドにあります。
AI要約で積んだ文献を選別する
自分の分野の文献を全部読む人間は存在しません。現実的な仕事は、精読に値するものを見極めることです。Marqlyは保存した記事のAI要約を生成するので、50件積み上げた文献の山が「選別リスト」に変わります。要約で当たりを付け、精読にコミットするか次へ進むかを決める——読み切られるリストと、ただ膨らむだけのリストの差はここです。
すべての保存はAIによる自動タグ付けも受け、地味に「分類作業」を消していきます。論文を「教育」「グラント」「核心文献」のどれに入れるか悩む必要はなく、その論文が扱うテーマのすべてから検索できる状態になる。凝ったフォルダ分類を自作して崩壊させた経験があるなら、フォルダ整理が時代遅れになる理由の議論は腹落ちするはずです。
講義・プロジェクト・助成金ごとのボード
タグは自動、ボードは意志で使う道具です。講義ごと、執筆中の論文ごと、グラント申請ごとにボードを作り、購読資料、ハイライトした重要な一節、問題を定義づけてくれた講演をまとめます。
ボードは公開ページとして共有でき、閲覧にアカウントが不要です。学生への読みものリスト配布、共著者に集めた文献の全体像を見てもらう手段として摩擦はほぼゼロ——新しいツールの導入を要求せず、リンク1本で済みます(共有は閲覧専用。共同編集のコレクションが必要なら、共有ワークスペースのMarqly Teamsへ)。
移動したり消えたりしそうなソース——プレプリントのページ、データセットの説明、講義リソース——にはSave as PDFが有効です。画面表示そのままのレイアウトでクリーンなPDFとして取り込み、処理はブラウザ内でローカル実行するので、ライブラリに残ったコピーがURLより長生きします。
録画された講演も「読書」の一部である
文献のますます大きな割合が、テキストではありません。学会の基調講演、録画セミナー、YouTubeの手法解説。Marqlyの拡張機能はYouTubeの視聴ページすべてにAIカードを置き、TL;DRのストリーミング要約と主要セクション、再生に同期した文字起こしタブ(ワンクリックでコピー可)、そして文字起こしを添付したまま保存するブックマークボタンを提供します。
研究者にとって効くのは最後の部分です。文字起こしがライブラリに入れば、セマンティック検索は講演のタイトルではなく話された内容までカバーします。1時間の基調講演がPDFと同じくらい検索可能になる。詳しくはYouTube動画をAIで要約する方法をご覧ください。
始め方
- Marqly拡張機能をインストール——Chrome、Edge、Firefox、Safariに対応。
- app.marqly.comで無料で登録。カードは不要です。
- ブラウザの既存ブックマーク(標準のHTMLエクスポート)をインポートし、長年保存したリンクにも遡ってAIタグを付けさせます。
- 今まさに進行中のプロジェクト——シラバス、文献レビュー——を1つ選び、ボードを与えます。
無料プランはコアとなるワークフローをカバーします。Proは年額72ドル(年払いで月約6ドル)または月額9ドルで、保存内容に対するAI Q&A——自分の積んだ読書の中から答えてくれる質問機能——が加わり、文献の山が大きくなるほど本領を発揮します。
Marqlyは適切な選択か?
率直な境界線をはいておきます。Marqlyは文献管理ソフトではない——引用フォーマットの整形や参考文献のエクスポートはしないので、Zotero系のツールの代わりではなく補完関係になります。オフライン閲覧はProでデバイス単位(WebとiOS)、ボードの個人共有は閲覧専用で共同編集はできません(共同編集はTeamsの機能)。
そのうえでMarqlyが埋めるのは、多くの学術スタックに欠けている層です。Webで読み、マーキングし、うろ覚えで残っているもの全部を、検索できる一箇所にまとめる。まず無料で始めるならapp.marqly.comから。
よくある質問
後から論文ページを再度開いたとき、ハイライトは残っていますか?
残ります。先月にマーキングした記事を開き直せば、ハイライトもメモも当時の位置のまま表示されます。さらにハイライトはMarqlyのライブラリにも同期されるため、ページを開き直さなくても、複数ソースを横断してマーキングした箇所を一覧・検索できます。引用を別のドキュメントにコピーし続けるのと、この方式の差はそこにあります。
シラバスや輪読会の文献リストを学生に共有できますか?
はい、ボードで可能です。講義やセミナーの購読資料をボードにまとめ、公開ページとして共有します。学生はブラウザで開くだけで、サインアップもアカウントも不要です。クラスに新しいツールを導入したくない場合に実用的です。共有は閲覧専用で、掲載内容はあなたが管理し、更新は共有ページにも反映されます。共同編集が必要ならMarqly Teamsをご利用ください。
MarqlyはZoteroなどの文献管理ツールを代替するものですか?
いいえ、代替を狙う設計ではありません。Marqlyは引用フォーマットの生成や参考文献リストの管理はしないので、その役割は文献管理ソフトに任せます。Marqlyが担うのは引用の「前段」——Web上で読んだものを収集し、ハイライトと注釈を付け、AI要約で積み文献を選別し、半年後にうろ覚えの内容を言葉で説明して文献を再発見する段階です。





